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冬の移籍期間に向けて2021/22、その1 [Arsenal F.C.]

冬の移籍期間に向けて2021/22、その1

Arsenal 1.jpg今シーズンは開幕直後の
対戦カードが悪かったとは言え、
開幕3連敗と言う最悪のスタートを切り
一時は最下位にまで沈んでしまいましたが
その後はそこから立て直して
上位を伺える所まで戻ってきました。

その一因として挙げられるのが
この夏に約£1億5000万投資した
補強の効果であり
特にバックラインが安定した事で
チームの状態は上向きになったと思われます。

ではまず最初はこの夏に獲得した選手達に付いて
私見的に考えてみたいと思います。
(年齢は獲得時の年齢)


ベンフィカから
  左SB ヌーノ・タヴァレス(21歳)ポルトガルU-21 £680万(推定)

アンデルレヒトから
 CMF アルベール・サンビ・ロコンガ(21歳)ベルギー代表 £1800万(推定)

フラムから
 CF ミカ・ビエレス(18歳)イングランド フリー

ブライトンから
 CB ベン・ホワイト(23歳)イングランド代表 £5000万(推定)

レアル・マドリーから
 攻撃的MF マルティン・ウーデゴール(22歳)ノルウェー代表 £3000万(推定)

シェフィールド・ユナイテッドから
 GK アーロン・ラムズデール(23歳)イングランド代表 £2400万+出来高(推定)

ボローニャから
 CB・右SB 冨安健洋(22歳)日本代表 £1600万+出来高(推定)


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20ヌーノ・タヴァレス(21歳)

この夏の移籍期間でまず最初に獲得したのが
20タヴァレスでした。
昨シーズン実質的に3ティアニーをバックアップする
本職の左SBが不在の状態の期間が存在した事を踏まえて
一番最初に左SBを補強した所には
この夏の補強方針の明確なビジョンが伺えました。

その20タヴァレスはポルトガルU-21に選出されていましたが
前クラブのベンフィカでもまだポジションを掴みきれていなかった
期待の若手選手の一人と言う印象で
3ティアニーと遜色ないレベルのバックアッパーと言うよりも
将来への先行投資と言う意味合いが強い補強と思われていました。

実際、プレシーズンでの試合を観ていますと
アーセナルのスタイルとアルテタ監督の戦術への適応に
苦しんでいた印象で
どの様に動くべきか理解していないまま
ピッチに出ている様な印象さえ受けました。

しかし、時間が経つにつれて
アーセナルのスタイルとアルテタ監督の戦術に適応し始めると
優れたフィジカル能力と無尽蔵のスタミナ、
そして物怖じしないメンタルの強さを活かして
左サイドの高い位置に向かってダイナミックに攻め上がり
そこからの仕掛けは良いアクセントとなっていると思います。
同時に左右両脚を遜色使える特徴を活かして
ライン側のワイドな位置だけに留まらず
中に入って行ってプレーする場面も多く
この辺りは3ティアニーにはない
20タヴァレスの特徴だと思います。

勿論、クロスの精度や守備面等、
まだまだ改善しなければならない部分はありますが
21歳と言う年齢を考えますと
今後の成長が非常に楽しみであり
3ティアニーのバックアッパーに留まらず
3ティアニーとポジションを争うレベルにまで
成長する事が期待されます。


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23アルベール・サンビ・ロコンガ(21歳)

ローン期間の終了に伴い
レアル・マドリーに戻ったセバージョスと共に
34ジャカのローマへの移籍が現実味を帯びていた関係で
早い時期に23ロコンガを獲得しましたが
当初は他にも獲得候補がいて
そちらの選手がメインターゲットで
23ロコンガは先行投資と考えられていました。

しかしその後34ジャカの残留が決まった事で
最終的にCMFの補強は
23ロコンガのみに留まる事になりましたが
あくまでも最初の立ち位置は
5トーマス、34ジャカ、25エルネニーに次ぐ
4番手の立ち位置だと思われていました。

しかしプレシーズンで起用された23ロコンガは
中盤の底からテンポ良く、
長短織り交ぜた正確なパスを供給すると共に
隙があれば自らボールを持ち上がる推進力と
アイデアのあるラストパスを送る非凡さも観せた事で
評価を上げて行き
特に年齢にそぐわない
冷静で成熟したそのプレーは
シーズン序盤で右膝の怪我で離脱した
34ジャカの穴を十分に埋めていたと思います。

その一方でPL特有の激しさに対しては
苦戦しているのも事実であり
激しいチャージに曝されてボールをロストしてしまう場面は
これまでにも何度もありました。

PL初参戦という事を考えれば
予想以上に適応していると思いますが
現実的にはまだフィジカル的な強度が不足しており
激しいチャージを仕掛けてくる相手に対応するスキル等を
早急に向上させていかなければならないと思います。

特に今シーズンは年明けから5トーマスと25エルネニーが
アフリカネイションズカップに参戦する為に
最長で2月上旬まで欠場する可能性がありますので
34ジャカと共にこのポジションをカバーする為には
23ロコンガの成長は重要になってくると思います。

勿論、多くのPL初参戦の選手と同様に
年末年始辺りからフィジカルコンディションを
落とす可能性もありますので
余りにも酷使してしまうのは問題だと思いますが
この難しい時期を上手く乗り越える事が出来れば
シーズンが終わる頃には本当の意味で
5トーマスや34ジャカとポジションを争うレベルにまで
成長出来るかもしれませんので
シーズン終わりまでこのまま突っ走って欲しいと思います。


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4ベン・ホワイト(23歳)

今シーズン£5000万を投資して
ブライトンから獲得した4ホワイトは
その移籍金に恥じない活躍を観せてくれていると思います。

加入当初は上背の低さや
フィジカル的な強度の問題で
2CBでは難しいと言う声も聞かれましたが
フィジカル的な強度に優れる6ガブリエウとコンビを組み
18冨安が右SBに加わった事で
それらの不安が払拭され
反対に流れを的確に読む能力と鋭い出足を活かした
アタッキングとカバーリングで
DFラインの安定に大きく貢献し、
何よりもゴールをも守ろうとする責任感は
DFリーダーとして大きな存在感を示しています。

同時に攻撃面でも以前から評価が高い
フィード能力は大きな武器となっており
退団したD.ルイスの穴を完全に埋めると共に
守備を固められた相手に対しては
自ら敵陣深くまでドリブルでボールを持ち運ぶ事で
強固な守備ブロックに風穴をあけて
攻略の糸口を作る等、
ただの守備者に留まらず
常に攻撃陣の一員として振る舞える
非常に現代的なCBと言えます。

バックラインからしっかりと組み立てると共に
鋭いテンポアップを求める
アルテタ監督のスタイルに
合致したCBと言う事は言うまでもなく
イングランド人CBと言う事もあり
向こう10シーズンはチームの屋台骨を
支える存在になる事が期待されます。


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8マルティン・ウーデゴール(22歳)

この夏に正式に移籍してきた8ウーデゴールは
今の所、思う様な出場機会が得られずに
やや苦しんでいる印象を受けます。

勿論、8ウーデゴールのプレーが特別悪いと言う訳ではなく
前線でボールが収まらない問題と
前線からのプレスを強化して守備面を安定させる目的で
9節のアストン・ヴィラ戦から
9ラカゼットをトップ下で起用していた影響で
シーズン前半の出場機会は限られている状況です。

同時に8ウーデゴールは基本的には生粋のパサーですので
その能力を最も発揮出来るポジションは
トップ下もしくはインサイドハーフに限られてしまいます。
実際、10スミス・ロウと共存させる為に
この二人がインサイドハーフで並んだ試合もありましたが
左SBがウイングの様に高い位置まで攻め上がる現在のシステム上、
アンカー1枚では守備のバランスが保てないと言う問題がある為に
現状としては8ウーデゴールの起用は
トップ下に限られているのも
プレー時間が伸び悩んでいる一因だと思います。

とは言え、持っているチャンスメイクする能力を
コンスタントにピッチで表現出来ていないのも事実であり
今後安定したプレー時間を確保する為には
もっとゴールに直結する働きを
観せる必要があると思います。

そう言う意味では12月に入り
ゴールと言う結果を出し始めていますので
状況は大きく変わっていくかもしれません。

ここ数シーズンの間アーセナルが悩まされている
仕掛けのアイデアやクオリティ不足の問題は
今シーズンも改善されておらず
例年同様にゴール数は伸び悩んでいます。

その様な状況を打開する為に
この夏に獲得した経緯を考えれば
現状の8ウーデゴールは
その期待に十分に応えているとは言えませんので
ここからのシーズン後半で
より多くのゴールを生み出す事出来るかどうか
真価が問われると思います。


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32アーロン・ラムズデール(23歳)

個人的なシーズン前半のサプライズは
この32ラムズデールです。

元々シュートストップ能力には定評がありましたが
シェフィールド・ユナイテッドでは
チームスタイルの関係もあったと思いますが
基本的にペナルティの外側に出てくる事はなく
バックラインでのボール回しには殆ど参加せずに
ロングキックを蹴る様な古典的なGKの様に観えましたので
アルテタ監督の目指すスタイルへの適応に
苦しむのではないかと個人的には思っていましたが
こんなにも早く1レノからポジションを奪うとは
正直思っていませんでした。

初起用されたカラバオ杯WBA戦こそは
ペナルティの外には出て来ず
バックラインでのパス回しに
余り関与していませんでしたが
次に起用されたPL第4節のノリッジ戦では
バックラインでのパス回しに積極的に関与する様になり
適応の早さを観せていました。

同時に右脚だけではなく左脚でも蹴る事が出来るそのフィードは
予想を上回る精度を観せており
無難なフィードが中心の1レノのフィードとは異なり
32ラムズデールは低く鋭い弾道のフィードも蹴る事が出来、
攻撃陣のスイッチを入れる役割を担う場面もあります。

シュートストップ能力に関しては
的確なポジショニングと鋭い反応で
危険なシュートを何度となく防いでいる様に
1レノと甲乙つけ難い状況だと思いますが
一方でハイボールの処理に関しては
ハイボールの処理に不安がある1レノに対して
ゴール前の激しいポジショニング争いが許容される
PL特有の状況の中で育ってきた分、
ゴール前の激しい制空権争いを全く苦にしておらず
非常に安定していると思います。

そして何よりも特筆されるのは
32ラムズデールから醸し出される雰囲気の良さです。
何事にも動じない『静』の雰囲気を醸し出す1レノに対して
32ラムズデールは良い時も悪い時も
大きな声を出して体全体で表現する『陽』の雰囲気であり
その雰囲気がDFラインの選手達の背中を押す
大きな後ろ盾になっていると思います。

1レノに責任があった訳ではありませんが
結果的に第3節のシティ戦の大敗を契機に
32ラムズデールにチャンスが与えられ
そのチャンスを32ラムズデールは見事に掴んだと思います。

このままの勢いを保つ事が出来れば
アーセナルの正GKだけに留まらず
イングランド代表の正GKの座も奪う事が出来るかもしれません。

そして向こう10シーズン、
イングランド代表GKがチームにいると言う事は
チームにとっても大きな意義があると思います。


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18冨安健洋(22歳)

夏の移籍期間最終日に獲得した18冨安は
イングランドの人にとっては
大きなサプライズだったと思います。

勿論、個人的にも18冨安
フィジカル的な強さと高さ、
そしてスピードとアグレッシブさは
PL向きだと思っていましたが
それでもここまで速やかにフィットするとは
思っていませんでした。

実際、移籍期間最終日に獲得したとは言え
代表期間があった為にチームに合流したのは
第4節のノリッジ戦の直前で
僅か1日強しかレーニング期間がなかったにも関わらず
先発で起用されたそのノリッジ戦でのパフォーマンスは
まさに圧巻だったと思います。

その18冨安のディフェンスは
陸上戦、空中戦問わずデュエルの強さは勿論ですが、
特に相手との間合いが絶妙だと思います。
その絶妙な間合いで構えられると
相手は簡単に仕掛ける事が出来なくなり
結果的にボールを後ろに戻さざる得ない場面が
何度となくありましたので
アーセナルは右サイドに強固な壁を得たと言えます。

一方で攻撃面に関してはボローニャ時代も
右SBでプレーしていたとは言え
元々がCBと言う事もあり
今の所はそれ程大きな貢献は観せていない所は
今後の課題だと思いますが
左SBがウイングの様に高い位置を取ると言う
アーセナルのシステム上、
右SBの18冨安がバランスを取ると言う
役割はしっかりと担えていると思います。

現状として右ライン側を制圧するだけに留まらず
時には3バックの様に
バックラインに残ってゴール前を固め、
時には左SBが上がったスペースを埋める為に
CMFが左にスライドして出来たスペースを埋める為に
中に絞ってCMFの右側に並ぶなど、
求められている役割は多岐に渡っている様ですが
加入時のインタビューで自分のストロングポイントを
「クレバーな所」と言っていた様に
与えられている役割をしっかりとこなしている様に観えます。

結果として高さと強さに不安がある4ホワイトが
安定感を増したのも
6ガブリエウと18冨安が両脇を固めたからであり
現状の強固なバックラインのラストピースになったと思います。

とは言え、フィジカル的に厳しいPLで
今のハイパーなパフォーマンスを
最後まで続ける事が出来るかどうかは
まだ何とも言えません。

そしてSBの攻撃力は現代フットボールにおいては
非常に重要な要素であり
今後より多くのゴールを奪って勝てるチームになる為には
もう少し攻撃面での貢献が必要だと言うのも事実だと思います。

先日の内田篤人氏との対談で語った様に
アーセナルが元々いたトップレベルの地位に引き戻す為の
第一歩としては今の所合格だと思います。
そしてこのままアーセナルを
トップレベルの地位に引き戻す原動力になれれば
レジェンドの一人として
後世に語り継がれる選手になれると思います。


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この夏の移籍期間で獲得した6選手は
基本的に全て当たりと言って良いと思います。

その夏の移籍期間で補強ポイントとして挙げていた

1、3ティアニーをバックアップする左SBの実力者

2、トップ下でプレー出来るクリエイティブ能力の高い攻撃的MF

3、第2GK又は1レノの去就によっては正GK

4、中盤のクリエイティブな役割を担うCMFもしくは
  18トーマスをバックアップするフィジカル能力の高いDMF

5、2ベジェリンが移籍した場合には右SBのレギュラー候補

6、9ラカゼットや14オーバメヤンが移籍した場合には新たなストライカー

7、場合によってはD.ルイスが退団したCB

の7つの内で
移籍がなかった「6」以外に対しては的確に補強が行われました。

「1」に関しては3ティアニーが怪我で離脱していた期間に
20タヴァレスは大きなインパクトを示して
バックアッパー以上の実力を自ら証明し
「4」に関しても怪我でシーズン前半を棒に振ったジャカの穴を
23ロコンガはしっかりと埋めたと思います。

「3」に関しては1レノのバックアッパーに留まらず
その1レノから32ラムズデールはポジションを奪い、
「5」に関しては18冨安が移籍した2ベジェリンの穴を埋め、
「7」に関しては4ホワイトが退団したD.ルイスの穴を
完全に埋めたと思います。

現時点でまだ十分な働きを示していないのは
「2」に対する8ウーデゴールだけですが
昨シーズン後半の働きを考えれば
これからもっと重要な働きをしてくれると思います。

よってこの夏の補強の評価は

『90点』と考えます。

昨シーズンから問題だった得点力不足が解消出来ていれば
文句なしで「100点」でしたが
今のところ解消されていない事を考えて
『90点』としました。



C'mon Arsenal !!


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