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2022/23シーズン〜〜CMF・DMF総括〜〜 [Arsenal F.C.]

2022/23シーズンを振り返って〜〜CMF・DMF〜〜

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今回はCMF・DMFについて2022/23シーズンを振り返ってみたいと思います。

今シーズンのこのポジションは
5トーマスがアンカーを務め
34ジャカが左インサイドハーフを務める形を軸に
5トーマスを25エルネニーが
34ジャカを23ロコンガが
バックアップする形になるはずでしたが
25エルネニーは度重なる怪我で殆ど稼働出来ず、
23ロコンガは一向に成長しない為に
実質的にシーズン前半は5トーマスと34ジャカの
2人で回していました。

その様な状況もあり冬の移籍期間では
ブライトンのカイセドの獲得に動いていましたが
ブライトンがカイセドの放出を
拒否する姿勢を崩さなかった為に
代わりにチェルシーから
20ジョルジーニョを獲得し、
シーズン後半は5トーマス、
34ジャカ、20ジョルジーニョの3人体制になり
出場機会が限られていた23ロコンガは
クリスタル・パレスへのローン移籍に出ました。

これによりアンカーは5トーマスと20ジョルジーニョの
2人体制になりました。
よりフィジカル的な強度を中盤の底にもたらす事の出来る
5トーマスに対して
より司令塔タイプで
状況によってゴールに直結するラストパスの供給源にもなれる
20ジョルジーニョと言う
二人の異なるタイプの選手を
アンカーに配する事が出来る様になり
質の面でも量の面でも改善されたと思います。

一方で左インサイドハーフは攻撃的MFタイプの
21ヴィエイラを起用する様な試合もありましたが
フィジカル的に問題がある21ヴィエイラでは
34ジャカと同レベルの役割を担う事が難しかった為に
実質的に34ジャカが一人で担わなければならない状況は
シーズン最後まで続きました。

同時に今シーズンは偽SBシステムを採用した事で
中盤の役割も若干マイナーチェンジされました。

アンカーに入る5トーマスや20ジョルジーニョは
ボール保持時に上がってくる35ジンチェンコと
ダブルボランチの様な形になり
その35ジンチェンコとゲームメイクの役割を
分担しする様になった事で
中盤の安定性は向上したと思います。

一方の左インサイドハーフの34ジャカは
35ジンチェンコが中に絞って入ってくる事で
プレーエリアがより高い位置に移った事もあり
攻撃面での役割が増える事になりました。

結果として25エルネニーの長期離脱や
23ロコンガの停滞が予想外だったとしても
このポジションもシーズン通して
人員不足のままだったのは言うまでもなく
幸いシーズン前半に5トーマスや34ジャカが
長期離脱する様な状況に陥らなかったお陰で
チームは勢いを失わずに済みましたが
仮にどちらかの選手を早い段階で欠く事になっていたら
今シーズンの躍進はなかったのかもしれませんでした。


〜〜5トーマス・パーティ(30歳)〜〜


PL 28試合先発+5試合途中出場:3ゴール
EL 6試合途中出場
FA杯 1試合先発


今シーズンもアンカーのポジションの
1stチョイスは5トーマスで
しかも今シーズンは長期離脱する事がなかった事もあり
全体的には充実したシーズンを過ごしていたと思います。

その5トーマスはこれまでと同様に
中盤にフィジカル的な強度をもたらす存在でしたが
今シーズンは新しく加入した9ジェズスを中心に
組織だったハイプレスが機能した事もあり
そのハイプレスの網から漏れてくるボールの回収役としても
非常に機能していたと思います。

同時にゲームを作る司令塔としても
偽SBとして5トーマスと並ぶ様な位置に
35ジンチェンコが入ってきた事でその役割は分担され
それにより相手のプレスを回避する事が容易になった事もあり
安定していたと思います。

そしてシーズン終盤の2試合では
怪我で離脱した35ジンチェンコに代わって
偽SBとして右SBに入ってプレーしました。

この時の5トーマスはボールを保持している時には
アンカーの20ジョルジーニョと並ぶ形で
プレーしていましたが
典型的な司令塔タイプの20ジョルジーニョと
フィジカル的な強度をもたらす5トーマスが並ぶ形は
非常にバランスが良かったと思いますので
35ジンチェンコや12サリバの離脱に伴う
苦肉の策だったのかもしれませんが
オプションとしては十分に有効だった様に感じます。

シーズン終盤こそはコンディションを落として
パフォーマンスレベルが落ちた様に観えましたが
コンディション的にも充実していた様に観えた
シーズン前半は一分の隙もない様な
無双状態だったと思います。

しかし元々怪我が多く、30代に入った5トーマスが
今後も今シーズンの様に大きな怪我なく
シーズン通して稼働し続ける事が出来るかどうかは
かなり不透明だと思います。

そう言う意味でもシーズン後半の様に
20ジョルジーニョと併用しながら
ベストな状態を維持する使い方を
今後も模索する必要があると思います。


〜〜34グラニト・ジャカ(30歳)〜〜


PL 36試合先発+1試合途中出場:7ゴール7アシスト
EL 6試合先発+1試合途中出場:2ゴール
FA杯 1試合先発+1試合途中出場
カラバオ杯 1試合途中出場


今シーズンのチームの躍進のポイントの一つが
新たな役割を与えられた34ジャカの存在だったと思います。

以前も書きました様に昨シーズンまでは
攻め上がっていく3ティアニーが空けた
左サイドのスペースを意識しながらプレーする
バランサーとして
基本的にはボールラインよりも後ろで
プレーする事が多かったと思いますが
今シーズンは偽SBシステムにより
5トーマスと並ぶ様な位置に
35ジンチェンコが入ってくる事で
34ジャカのプレーエリアは必然的に前に移動し
ボールラインよりも前でプレーする機会が増えました。

これにより2ラインの間やアタッキングエリアで
シュートに繋がるパスやコンビネーションに関わる機会が増え
状況によってフィニッシュの局面にも
積極的に顔を出す様になり
PL7ゴール7アシストと
アーセナル移籍後最高の結果を残しました。

唯一いただけなかったのが
アウエイでのリバプール戦での
不必要なファールだと思います。

個人的にはあのファールは
そのリバプール戦から始まる最重要な局面に
水を差してしまったと感じていますので
今でもなぜあの様な愚行を犯したのかと思ってしまいます。

その34ジャカは家族の希望もあり
この夏でアーセナルを離れ
レヴァークーゼンへ移籍する事が
内定していると言われていますので
来シーズンに向けてその34ジャカの穴を
どの様な形で埋める事が出来るかが
大きなポイントになると思われます。


〜〜20ジョルジーニョ(31歳)〜〜


PL 9試合先発+5試合途中出場:1アシスト
EL 2試合先発


冬の移籍期間で獲得した20ジョルジーニョは
現在のアーセナルのスタイルとの相性は
非常に良かったと思います。

元々20ジョルジーニョは
アルテタ監督がシティのコーチ時代からの
お気に入りだったと言われており
冬の移籍期間でブライトンのカイセドを取り逃すや否や
速やかに20ジョルジーニョの獲得を決めた意味が
シーズン後半のプレーを観ると理解出来ます。

20ジョルジーニョは5トーマスとは異なり
典型的な司令塔タイプの選手で
中盤の底から的確にボールを捌いてゲームを作り、
DFラインの裏に向けた走り出している選手に
ピンポイントでタッチダウンパスを送る
ロングレンジのパスの精度も素晴らしかったと思います。

そしてチャンスがあればアタッキングエリア近くまで上がってきて
シュートに繋がるラストパスの供給役としても振る舞える所も
5トーマスとは異なるキャラクターだと思います。

唯一チェルシー時代から指摘されていた
フィジカル的な強度とスピード不足が懸念されていましたが
今シーズンのアーセナルは組織的に成熟していた事もあり
パワーやスピードに頼らざる得ない状況に陥る場面は少なく
また経験に裏打ちされた的確なポジショニングセンスで
フィジカル的な強度とスピード不足の問題は
それほど多く感じる事はありませんでした。

その20ジョルジーニョは冬に加入したばかりとは思えない程
速やかにフィットしましたが
それはプレー面だけに留まらず
他の選手とのコミュニケーション面でも
速やかにフィットしていた様に観えました。

例えばピッチ内では修正を加え続ける様に
常に周囲の選手に声を掛けている姿も印象的でしたが
最も印象的だったのは
試合後に若い選手によく声をかけていた所です。
特に敗れた試合ではあたかも選手達をケアする様に
声を掛けている姿は印象的であり
言うなれば選手以上の存在感を
20ジョルジーニョからは感じます。

今後は常時スタメンでフル稼働と言うのは
年齢的に難しくなってくると思いますが
ピッチの中でゲームを作る司令塔としてだけではなく
若いチームをPL制覇に導く道標として
来シーズンも大きな存在になってくれると思います。


〜〜25モハメド・エルネニー(30歳)〜〜


PL 1試合先発+4試合途中出場
EL 1試合先発
FA杯 1試合先発:1ゴール
カラバオ杯 1試合先発


昨シーズン終盤に怪我で離脱した
5トーマスの穴を埋める活躍をした25エルネニーは
今シーズンも怪我が多い5トーマスをバックアップする
貴重なバックアッパーとして期待されましたが
度重なる怪我でその役割は全う出来ませんでした。

それでもクラブは
シーズン後半を棒に振った
右膝の怪我での離脱中に
この夏に切れる契約を1年延長した様に
25エルネニーは色々な意味で
チームにとって必要な存在という事は
間違いないと思いますので
来シーズンの怪我からの復帰が待たれます。


〜〜23アルベール・サンビ・ロコンガ(23歳)〜〜


PL 2試合先発+4試合途中出場
EL 6試合先発
FA杯 1試合先発+1試合途中出場
カラバオ杯 1試合先発


残念ながら2シーズン目の今シーズンも
期待したレベルにまでは成長しなかったと思います。

一言で言ってしまえば「戦術的な理解度の欠如」
と言えると思いますが
実際はそこまで難しい問題ではなく
次にどの様に動けば良いのか?
次に何をすれば良いのか?
と言うような単純な物から
人やボールの動きから
次に起こる事象を予測する様な
基本的な能力に問題がある事で
適応出来ていない様に観えます。

勿論、PLの中でも今シーズンのアーセナルは
プレースピードが速く
同時に瞬時に状況判断する事が求められますので
適応するのは難しいと思いますが
一方で冬の移籍期間でローン移籍した
クリスタル・パレスでも
その様な状況は変わりませんでしたので
残念ながらそもそもPLのスピードに対応出来るレベルでは
なかったと言えると思います。

この夏にアーセナルに戻ってきますが
現状を考えますと
このまま構想外になると思われます。


C'mon Arsenal !!



(年齢は2023年6/30時点)


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