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ウナイ・エメリ監督を解任せず。 [移籍情報]

今回の代表期間中に
ウナイ・エメリ監督は解任されませんでした。

Arsenal 1.jpg今シーズンの戦績と試合内容、
そして先日のレスター戦での完敗を受けて
エメリ監督の解任が噂されていましたので
アーセナルのフロント陣が
このまま続投を決断したのは
正直意外でした。

PL12節が終了した時点での
今シーズンのアーセナルの戦績は
4勝5分け3敗 勝ち点17で
PL6位と低迷しており
CL出場権を獲得する上で当面のライバルになる
4位のシティとは勝ち点差が8も開いてしまいました。

7勝3分け2敗 勝ち点24と言う
昨シーズンの12節終了時点での戦績と比べても
勝ち点が「7」も低下しており
シーズンの約1/3が過ぎた現状のペースのまま行きますと
今シーズンは勝ち点は54点程までしか伸びない計算になり
この数字ではCL出場権の獲得は勿論の事
ELの出場権が与えられる5位すら危ない状況だと思います。

昨シーズンの出だしは良かったと思います。
これまでの多くの自由を与えられていた
ボスのスタイルのチームに規律を持ち込み
サイドからの仕掛ける形を形成したチームは
好感が持てる攻撃的なチームになろうとしていたと思います。
その一方でアーセナルよりも強いチームと対戦した時には
全くと言って良い程歯が立たなかったのも事実であり
この問題を改善する為にも
今シーズンは少なからずスタイルの変更が
必要だったのかもしれません。

そこでエメリ監督は今までよりも
縦に速い展開をチームに持ち込む事になりましたが
残念ながらその方針は失敗に終わったと言えるかもしれません。
確かに速く激しく緻密なプレスを仕掛けられ
高いポゼッションを維持するチームに対しては
よりダイレクトにゴールを目指す
縦に速い展開は有効だと思いますし
14オーバメヤンと共にこの夏に獲得した19ペペの
2人のスピードスターと
ロングレンジのパスを出せる
23ルイスと34ジャカの2人を擁する布陣を
フルに活かす事が出来れば
縦に速い展開は強力な武器になる可能性も
あったかもしれません。

しかし実際には9ラカゼットが怪我で離脱していた事も
影響したのかもしれませんが
前線にパスを送っても収まらず、
ただ単に無策に競り合うだけの
往年の「キック・アンド・ラッシュ」を観ている様な有様で
一般的にイメージする縦に速い展開を観せるチームのそれとは
全く異なる形のチームになっている様に感じます。
勿論、9ラカゼットが復帰してからは
多少前線にボールが収まる様になったと思いますが
その一方でその9ラカゼットは
例えばフィルミーノの様にそこから攻撃を広げるだけの
アイデアやセンスやスキルを持ち合わせている訳ではありませんので
結局単調な攻撃を変える事は今の所出来ていないと思います。

その上、縦を意識するあまりに
バックラインと前線の間の距離が空いてしまう事が多々あり、
その結果、間延びした中盤は攻撃時にテンポを上げる事が出来なくなり
縦に速い展開を観せる所か
逆に全体的にリズムが緩慢なチームになってしまったのも残念でした。

ボスの時代が全て理想形と言う訳ではありませんが
少なくとも20年以上と言う年月の間に築かれたそのスタイルは
既にアーセナルというクラブの伝統やカラーになっているのも事実であり
そのボスが築いたスタイルの代名詞が
中盤からテンポ良くパスを繋いで
試合を支配するスタイルであり
その自慢だったスピーディーでテクニカルな華麗な中盤が
見る影もなくなろうとしているのは非常に残念です。

勿論、テンポ良くパスを繋ぐスタイルと
中盤を省略して前線にロングボールを放り込むスタイルの
どちらが今のアーセナルに適しているかは
人によって意見が分かれるのかもしれませんが
少なくとも数字の上では
今シーズンのアーセナルが
攻守の両面で機能していないという事は一目瞭然だと思います。

まず今シーズンと昨シーズンの得失点を比べてみますと

昨シーズンの12節までの得失点は
総得点26点 総失点15点 得失点差+11でしたが

今シーズンの12節までの得失点は
総得点16点 総失点17点 得失点差ー1と

10点も得点が落ちています。

そして昨シーズンの総括で問題提起した
他のビッグ6のクラブに比べて
極端に少なかったシュート数と枠内シュート数を比べても

昨シーズンのシュート数は
総シュート数467本で1試合平均のシュート数12.2
総枠内シュート数170本で1試合平均の枠内シュート数4.5本に対して

今シーズンの12節までのシュート数は
総シュート数150本で1試合平均のシュート数12.5本
総枠内シュート数53本で1試合平均の枠内シュート数4.4本と

全く改善されていません。

この事からも昨シーズンから問題になっている
シュートチャンスの少なさは
新しいスタイルになっても改善されておらず
その上、得点数が減少している状況を考えますと
攻撃面は機能しているとは言えないと思います。

それと共に今シーズン問題になっているのが
被シュート数の多さです。

昨シーズンの被シュート数は
総被シュート数486本で1試合平均の被シュート数12.8本  
総被枠内シュート数185本で1試合平均の被枠内シュート数4.9本に対して

今シーズンの12節までの被シュート数は
総被シュート数197本で1試合平均の被シュート数16.4
総被枠内シュート数75本で1試合平均の被枠内シュート数6.25本と

昨シーズンに比べて大幅に増加していると共に
アーセナルの1試合平均のシュート数、枠内シュート数よりも
被シュート数の方が多い状況を考えても
守備の面でも機能しているとは言えないと思います。

昨シーズンの総括の時にも書きましたが
結局ボスの時代から問題だった守備組織の問題は
エメリ監督になってからも全く改善されておらず
基本的に個の力に頼ったディフェンスで
なんとか凌いでいる現状を考えれば
エメリ監督には守備組織を構築する術を
持ち合わせていないのは間違いないと思います。

その上、攻撃面に関しても残念ながら
スカッドのキャラクターを無視するスタイルを導入した事で
完全に機能不全を起こしており
多くのメディアが解任の可能性を報じたのも納得出来ます。

フロント陣は継続してエメリ監督をサポートすると
宣言していましたが
この代表期間で監督交代に踏み切らなかったのは
後々大きな痛手にならないか非常に心配です。

ここから年明けまでの期間は
基本的に週に2試合のスケジュールが組まれており
唯一丸々1週間間が空くのが
12/15のシティ戦から12/21のエヴァートン戦の
1週間だけであり
その次は年明けのFA杯3回戦の後まで連戦が続きます。

仮にこのまま成績が上がらずに
急遽監督交代に踏み切ったとしても
新たな監督は中2〜3日で試合を行うスケジュールの中で
新たなスタイルをチームに導入しなければなりませんので
自分のスタイルを浸透させ
すぐに結果を出せる様になるとは思えません。
それ故に仮に監督交代に踏み切るのならば
トレーニングする時間的な余裕がある
代表期間中に監督交代に踏み切った方が効果的であり
最良のタイミングだった様に思います。
それに幸か不幸か現在のアーセナルは
代表に呼ばれていない主力選手が
多数コロニーに残っていますので、、、(苦笑)。

にも関わらずこの時期に監督交代に踏み切れなかったのは
もしかしたら後任監督の目処が立たなかった為なのかもしれません。

仮に監督交代に踏み切った場合には
それ相応の一流の監督がターゲットになると思いますが
この時期に他のクラブから引き抜く事は現実的ではなく
現在フリーの状態の監督が主なターゲットになると思います。

その様な条件が合うフリーの監督の中で
誰もが最初に頭に浮かべたのが
この夏にユーベの監督を退任したアッレグリだったと思います。
以前から英語の習得に励みPLへの興味があると言われていましたので
諸々の条件が合致すれば
アッレグリの就任の可能性はある様に感じていましたが
噂だけで立ち消えになった事を考えますと
アーセナルの監督の職は
それ程興味を示さなかったのかも知れません。

一方でサンレヒと旧知の仲のルイス・エンリケと
会談が持たれたという噂もありましたが
夏に娘さんを病気で亡くしたたばかりで
日本人的に考えれば喪に服している最中ですので
来夏ならば可能性があるかもしれませんが
この時期に現場に復帰する事は考えられないと思います、
と思っていたらスペイン代表監督への復帰の情報も出ており
アーセナルの監督への就任への興味は
元々なかったのかも知れませんね。

反対に声を掛ければ
すぐにでも飛んできそうだったのが
ユナイテッドを解雇されてから
ビッグクラブから全然お呼びが掛かっていない
モウリーニョだったと思います。
しかしボスとの確執を忘れていないグナは
未だに多くいると思いますので
就任した場合にはグナを2分する大騒動になるかも知れません。

個人的にはモウリーニョは人間的に大嫌いですが
何よりも堅守速攻のモウリーニョのスタイルが
今のアーセナルのスカッドに合っているとは思えませので
そう言う意味でも個人的には
モウリーニョの就任は反対の立場です。

シーズン終盤ならばリュングベリに
暫定監督を任せると言う手もあったと思います。

昨シーズンリザーブリーグで結果を残した所や
若い選手から絶大な信頼を寄せられている所を考えますと
選手を引きつけるカリスマ性や
モチベーターとしての手腕は
十分に持ち合わせていると思われますので
今の悪い雰囲気を変える起爆剤になるかも知れません。
その一方で戦術的な部分がまだ不透明だと言うのは否めず
シーズンの半分以上が残っている現時点で
マネージメントしながら
しっかりと結果を出す事が出来るかどうかは
また別の話の様に感じます。

アルテタをシティから引き抜く案もある様ですが
そうなるとこのリュングベリの去就がどうなるかが心配です。

ペップの戦術を間近で観ているアルテタは
きっと多くのグナが納得する様なチームを作ってくれると思いますが
反対にアルテタよりも年長で
クラブのレジェンドであるリュングベリが
アルテタの下に就いて仕事をするとは考えられず
アルテタの就任はそのままリュングベリの退任と
セットになってしまうかも知れません。
アーセナルの黄金期を築いたレジェンド達が
中々クラブに戻ってこない中で
やっとクラブの要職に就いたリュングベリが
再びクラブを離れてしまったら
もうアーセナルには戻ってくる事はない様に感じてしまいます。
アーセナルの黄金期を知っている人間としては
その様な状況になるのはちょっと淋しく感じますので
アルテタの就任も複雑な気持ちです。


今回の代表期間中にエメリ監督を解任しなかった事が
吉と出るか凶と出るか、、、非常に心配です。

現在のスタイルを貫くのかどうかは分かりませんが
エメリ監督が現状を大きく変える事が出来なければ
年末年始の戦績は悲惨な状況に陥るかも知れません。
仮にその様な状況になってしまったら
残念ながらもう手遅れだと思います。
そうならない為にも今回の代表期間は
監督の交代を敢行する最高のタイミングだったと
個人的には思っていました。

しかし残念ながらフロント陣は
エメリ監督の続投を決断しましたので
何とかチーム内で現状を打破しなければなりません。
個人的には先日完敗を喫した
レスターの様なチームスタイルが
現在のアーセナルのスカッドには合っている様に感じますが
どうでしょうかね、、、、エメリ監督。


C'mon Arsenal !!


追伸、毎試合定期的にレビューを書くのは難しいのですが
今回みたいに不定期に書く事は出来そうです。
それに胸の中のモヤモヤを発散しないと
精神衛生的に良くなさそうですので
これからも気になる事が出てきたら
時々発散したいと思いますのでよろしくお願いします。


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コメント 4

しゅうへい

更新お疲れ様です。
私はこの代表ウィークにエメリが解任されることを期待していたので、フロントが動かなかったことにガッカリしています。
リュングベリでもアルテタでも良いので、今の最低な雰囲気を変えてほしかった。。
ジャカの騒動やトレイラの現状への不満の件についても、私はエメリのマネジメント能力の低さが原因かと思います。
ジャカについては指名した本人であるエメリが、最後まで守ってあげてほしかった。。
エジルとの関係も冷え切ってしまっていますし、結果が出ない中で多くの選手と問題を抱えるエメリに対し、監督を信頼し100%で戦う選手はいるんですかね。。
アーセナルが負けてほしいだなんて、死んでも思いませんが、エメリだけは解任されてほしいです。。
by しゅうへい (2019-11-20 00:25) 

silentlucidity

しゅうへいさん、コメントありがとうございます。

私もエメリ監督のマネージメント能力には疑問を感じます。

実際にはどうなのかは分かりませんが、パリSGの時もそうでしたが、何かトラブルが発生した時にはとりあえずその場を取り繕うだけで抜本的な問題の解決ができない性格の様に外から観ていると感じてしまいます。

まぁ、言葉の壁の問題で上手くコミュニケーション出来ないと言う問題があるのだと思いますが、、、。

本当に次のサウサンプトン戦でまた負けてもまだサポートするとフロント陣は言えるのでしょうかね?
スパーズがポチェッティーノを切った様に、アーセナルも決断するタイミングでしたよね、、、。


では、また。



by silentlucidity (2019-11-20 10:24) 

ぐーなー

更新お疲れ様です。やっぱり試合後の記事がないと少し寂しいですので、今回のようにたまに書いてください!(笑)

今回のエメリ解任の噂について、実は私はモウリーニョへの交代を望んでいました。

もちろん、ボスのことを「失敗のスペシャリスト」と呼んで舌戦を繰り広げたモウリーニョは大大大嫌いですし、マドリーやチェルシー、マンUでは選手批判を繰り返しチーム崩壊させ、焼け野原にして去っていったことを覚えているので、監督としてチームを成長させるような人間ではないと思っています。

しかし、それでもモウリーニョへの交代を望んだのは、現状のエメリ体制に期待が持てないからです。というより、「もし監督交代しても、これ以上悪くはならない」と思ったからです。そのくらい、いまのアーセナルは問題を抱えていると思います。

モウリーニョは、短期的なモチベーターとしてであれば優秀な監督だと思っていて、いまの崩壊した守備をどのようにして建て直すかが個人的に気になっていたというのもあります。あと、エジルがモウリーニョの元で復活というシナリオも面白そうで。

結局スパーズの監督になっちゃったので実現はしませんでしたが、仰る通り、エメリを切ることを決断するタイミングだったと思います。この決断が凶と出ないことを願うばかりです・・・。

少し期待しているのはアンリが監督としてカムバックしてくることなんですが、モナコで失敗したのでまだ現実的ではないですかね?
リュングベリでもアルテタでも、とりあえずエメリ以外の監督を見たいと思ってしまいました。
by ぐーなー (2019-11-22 22:16) 

silentlucidity

ぐーなーさん、コメントありがとうございます。

仰る通り、今のアーセナルの状況はピッチの上は勿論ですが、エメリ監督と選手との関係性もあまり良くなさそうに感じてしまいますので、チーム内で問題解決に努めるよりも監督交代というショック療法を選択して欲しかったですよね。

アンリは就任したMLSのモントリオール・インパクトでの結果次第でしょうかね。
ここで結果を出せば将来的な監督候補に入ってくるかもしれませんが、反対に失敗してしまったら監督としてのキャリアはかなり厳しくなってしまうかもしれませんので、、、ガンバって欲しいですよね。

今晩のサウサンプトン戦は非常に重要な試合になりそうですよね。 ここまでの低調なパフォーマンスを払拭する様な試合を観せてくれたら良いのですが、同様に醜い試合をしてしまったらヤバイですよね、、、。


では、また。


by silentlucidity (2019-11-23 23:01) 

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