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PL19:Bournemouth vs ARSENAL アルテタ監督のファーストインプレッション [Arsenal マッチリポート]

Bournemouth 1−1 ARSENAL
2019年12月26日(木)Premier League, Vitality Stadium

Goal
 (35)Gosling
 (63)14Aubameyang


1Leno

15Maitland-Niles 5Sokratis  23Luiz   77Saka   

11Torreira

 10Özil      34Xhaka

  24Nelson          14Aubameyang

9Lacazette



(75)10Özil>>>28Willock
(77)5Sokratis>>>20Mustafi
(82)24Nelson>>>19Pepe


Substitutes
 26Martinez
 27Mavropanos
 29Guendouzi
 32Smith Rowe
 

Arsenal 1.jpgエメリ監督が解任された後
リュングベリが暫定監督を務めていましたが
やっと先日アルテタを
正式に監督に迎える事が出来ました。
そのアルテタ監督は
就任してから数日しか経っていないにも関わらず
予想以上に良い状態に仕上げてきたと思います。

そこでアルテタ監督の初陣である
この試合を観たファーストインプレッションを
私見的に書いてみたいと思います。

まずこの試合でのシステムは今までとは異なり
言うなればグアルディオラ風の
システムとでも言うべきなのか
4−3−3と4−2−3−1のハイブリッドの様な
システムを使ってきました。

GKは1レノが入り、
DFラインは右から15ナイルズ、5ソクラティス、
23ルイス、77サカが並びました。

そしてこれまでと大きく異なる形になったのが
中盤でした。
まず前半はDFラインの前のエリアに留まる形で
アンカーには11トレイラが入り
その左前方に34ジャカがインサイドハーフとして入りました。
一方で右前方には10エジルが入りましたが
34ジャカに比べて明らかに前目のポジションと取っていましたが
2ラインの間を基準とするトップ下と言うよりも
相手のアンカーの脇のハーフスペース辺りを
基準としてプレーしていましたので
ポジション的にはインサイドハーフに近いポジションで
プレーしていた様に観えました。
しかしこの2人の役割は大きく異なり
34ジャカは攻撃時には前に出て
前線へボールを供給する役割を担っていましたが
相手ボールになりますと
11トレイラの横まで下がってきて
11トレイラをフォローしていました。

一方で10エジルは34ジャカと同様に
前線にボールを供給する役割を担っていましたが
同時にそのまま2ラインの間へ侵入していき
ラストパスの供給者の役割も担っていたと思います。
一方相手ボールになっても
11トレイラの横までは戻ってくる事はなく
基本的には高い位置でプレスを仕掛ける役割を
与えられていたと思います。
言うなれば34ジャカはCMF寄りのインサイドハーフで
10エジルはトップ下寄りのインサイドハーフ、
もしくは右サイドの下がり目の位置に配した
2列目の選手とでも言う感じで
左右非対称のシステムを組んでいる様に観えました。

前線は右に24ネルソン、左に14オーバメヤン、
そして1トップに9ラカゼットが入りましたが
その両ワイドの2人の立ち振る舞いもポジション表記とは
異なる部分が多くあったと思います。
右の24ネルソンはその内側に10エジルがいますので
基本的にはワイドの位置をキープする
ウイング的な振る舞いが主だったと思います。
一方で左の14オーバメヤンは
ワイドな位置どりでプレーする時もありましたが
主にウイング的な役割を担っていたのは
高い位置まで侵入してきた左SBの77サカであり
スタッツ表が示す様に14オーバメヤンはどちらかと言うと
ハーフスペース辺りを意識して
プレーしていた様に観えました

よって前線のアーセナルは相手陣内では
中央に1トップの9ラカゼットが陣取り
DFラインのハーフスペース辺りを意識する
左の14オーバメヤン、
そこよりもやや下がった
アンカーの脇のハーフスペースを意識する
右の10エジル、
そして右サイドのワイドの位置に24ネルソン、
左サイドのワイドの位置に侵入してくる
左SBの77サカと言う形が
基本的な形になっていた様に感じます。

一方で両SBは高い位置まで攻め上がらない時には
11トレイラの脇のポジションに絞ってきて
3センターの様なブロックを作って
相手のカウンターやこぼれ球に対応する形を
アルテタはアーセナルにも導入した様です。

偶然といえば偶然かもしれませんが
2ベジェリンや3ティアニー等の本職のSBが
現在怪我で離脱しており
その代役として77サカと15ナイルズが
この試合ではSBを務めていましたが
ウイングが本職の77サカを
高い位置まで攻め上がらせて
ウイングの様に振る舞わさせるのは
77サカの特性を活かす事にもなっていると思いますし
本来CMFやサイドハーフが本職の15ナイルズが
11トレイラの脇にまで絞って
CMFの様に振る舞う形も
15ナイルズにとっては本来のポジションですので
問題なく対応できていたと思われます。

勿論、この形はグアルディオラがシティで行なっている形と
同様の形ですので
77サカや15ナイルズの特性を考えて
たまたまこの様な形で戦った訳ではなく
これからのアーセナルのスタンダードになると思われますが
実際2ベジェリンや3ティアニーが復帰してきた時に
どの様な役回りにしていくのかは
非常に興味があります。

一方で後半になりますとアルテタ監督は
34ジャカの役割を変えてきました。

後半の34ジャカは基本的には
11トレイラと並んだ位置でプレーしていましたが
ボールを持っている時には23ルイスの脇まで下がって
右に5ソクラティス、中央に23ルイス、
そして左に34ジャカと3人が並ぶ様に
バックラインに入り、
相手ボールの時には11トレイラと並んで
DFラインの前のスペースをプロテクトする役割を担っていました。

これはバックラインでボールを繋いでいる時に
ボーンマスの前線の選手達に
執拗にプレスを仕掛けられて
速やかにボールを前に進められなかった場面があった事に対する
対策だと思いますが
5ソクラティスと23ルイスの2人だけですと
どうしても元々のパスの精度が十分ではなく
その上プレースピードが落ちてきている5ソクラティスが
相手のプレスのターゲットになりがちになりますが
34ジャカがバックラインまで下がってくる事で
そのプレスが分散されると共に
23ルイスと34ジャカと言うパスの出し手が2人になる事で
より速やかに前線にボールを供給できる様になったと思います。

一般的に表記される型にはまった
「システム」や「ポジション」と言う概念を取っ払って
一人一人の選手に複数の役割を与えるシステムは
グアルディオラの代名詞でもありますが
やはりアルテタも同じ様なやり方を
アーセナルに持ち込もうとしているのが
この試合を観ただけでも十分に分かったと思います。

そして次に挙げられるポイントが
ビルドアップの部分だと思います。

ここまでのシーズン前半は
DFラインもしくは中盤の底がボールを持っても
そこから前線までの距離が非常に遠く
さらにポジショニングも悪い為に
パスコースを見い出す事が出来ずに
後方で停滞する展開ばかりでしたが
そのビルドアップの部分は
この試合ではかなり改善され
その第一段階として
アルテタ監督がまず行ったのが
11トレイラをアンカーで起用した所だと思います。

この試合でもボーンマスは他のチームと同様に
アーセナルのバックラインから中盤の底に対して
積極的なハイプレスを仕掛けてきましたが
それに対して中盤の底に陣取った11トレイラは
パスコースが確保出来る様に細かくポジションを移しながら
バックラインからパスを引き出し
プレスを仕掛けられても全く動じる事なく
そこからワンタッチ・ツータッチで
間髪入れずにパスを捌き続けていたのは
大きかったと思います。
その上11トレイラが捌くパスは
単純に後ろに戻すバックパスが
極端に少なかった所も大きなポイントだったと思います。

これまで度々アンカーを務めていた34ジャカは
バックラインからボールを引き出しても
前を向けずにすぐに後ろに戻してしまう場面が多く
それによりテンポアップが出来ない問題が
アーセナルの中盤にはあったと思います。
しかしこの試合での11トレイラは
基本的には前のポジションにいる
34ジャカと10エジルへパスを送り続け、
23ルイスにパスを送る場面でも
それは後方へのバックパスではなく
ビルドアップの為に前に出てきた23ルイスへの
横方向のパスが殆どで
後ろ向きの横パスではなく
チームを前に進ませる為の横パスと言えると思います。

一方で後半になり
相手のハイプレスが更に強くなったと見るや
先程も書きました様に
34ジャカをバックラインにまで下げて
バックラインの人数を増やすと共に
ボールの出し手を増やす事で
相手のハイプレスをいなす試みも見て取れました。

そしてそのトレイラからのパスを引き出す役割の
34ジャカと10エジルのポジショニングも
絶妙だったといえます。
特に10エジルは相手のアンカーのレルマ、
インサイドハーフのゴスリング、
そして左SBのシンプソンの間に当たる
レルマの脇のハーフスペースでパスを引き出す事で
プレッシャーを受ける事なく
更にそのまま前を向いて2ラインの間に侵入する事で
バックラインや中盤の底から前線に掛けて
非常にスムーズに
ボールが運ばれる様になっていたと思います。

勿論、ボーンマスの中盤のポジショニングや
プレスの掛け方が非常に曖昧だった部分もあると思いますが
人とボールに対する周囲の選手のポジショニングの取り方と
それに呼応する様にボールを動かす術に付いて
早くも修正が始まったのだと考えます。

そしてアンカーを務めた11トライラは
昨シーズンの初めの頃の様な鋭い出足が戻ってきた印象で
重要な局面で的確なボールハントを観せて
ピンチを未然に防ぎ
守備の面でも大きな存在感を観せたと思います。

一方で失点の場面でもわかります様に
崩された場面ではマークが曖昧になり
その上危険な場面に侵入してきた相手に対して
寄せも甘くなり
簡単に失点してしまう所はまだ修正されておらず、
攻撃面に関しても
シュートに迫る最後の局面で
どの様にしてゴールを奪うのかと言う
アイデアの共有や崩す時の決まりごと等は
まだ観られなかったと思います。

実際17本のシュートを撃ちながら
枠内シュートが2本しかなかったのも
改善しなければならない所だと思いますし
左サイドの深い位置まで良い形で侵入していながら
クロスの精度が極端に悪かった為に
全く決定機を作れなかった77サカの様な状況になった時に
周囲とのコンビネーション等の
クロス以外の他の方法論を用いるだけの
引き出しも増やしていかなければならないと思います。

とは言え、就任してから数日しかなかったにも関わらず
アルテタ監督は自分のカラーを注入して
予想以上に修正してきたと思います。

その手始めとしてまず行なったと思われる
システムやポジショニングの問題と
ビルドアップの段階での問題は
早くも良い結果が出てきそうだと思いますので
この調子で1レノに頼りっきりの守備組織の改善と
より効率良くにゴールを奪える様に
攻撃陣のバージョンアップが
速やかに行われる事を期待したいと思います。

アルテタ監督のファーストインプレッションは
勝利こそ奪えませんでしたが
暗雲が立ち込めていた現在のアーセナルに
一筋の光が差し込み始めた印象です。
そしてまだ1試合だけですが
その光が1本、また1本と増えた印象です。


C'mon Arsenal !!


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2ベジェリン     PL:0G0A EL:0G0A CC:0G1A
3ティアニー     PL:0G0A EL:0G2A
5ソクラティス    PL:1G0A
8セバージョス    PL:0G2A EL:1G0A
9ラカゼット     PL:5G1A EL:1G0A
10エジル       PL:0G1A EL:0G0A CC:0G1A 
11トレイラ      PL:1G0A EL:0G0A CC:1G0A
14オーバメヤン    PL:12G1A EL:2G0A
15ナイルズ      PL:0G2A EL:0G0A CC:1G0A 
16ホールディング   PL:0G0A EL:0G0A CC:1G0A
19ペペ        PL:2G3A EL:2G2A
20ムスタフィ     PL:0G0A EL:1G0A
21チェンバース    PL:1G0A EL:0G0A CC:0G3A
23ルイス       PL:2G0A
24ネルソン      PL:0G0A EL:0G1A CC:1G1A
28ウィロック     PL:0G0A EL:2G0A CC:2G0A
29グエンドゥージ   PL:0G1A EL:0G0A CC:0G1A 
31コラシナツ     PL:0G2A
34ジャカ       PL:0G1A
35マルティネッリ   PL:1G0A EL:3G3A CC:4G0A
77サカ        PL:0G1A EL:2G3A CC:0G1A


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